拡大感染防止や適切な治療薬の使用には迅速なインフルエンザ診断が重要

上気道の炎症は感染のサイン

インフルエンザの診断には、イフルエンザかあるいは他の疾患なのか、合併症の有無という2つのポイントがあります。

病原診断が重要なことは改めて記すまでもありませんが、抗インフルエンザ薬の適正な使用や感染の拡大防止を行うためには、インフルエンザの迅速かつ確実な診断は欠かせません。

流行期に突然の発症、高熱、上気道の炎症、全身倦怠感などの典型的なインフルエンザ症状が現れた場合には、臨床症状による判断も比較的容易です。

しかしこれらの症状を他の感染症でも呈することが多い小児、逆に現れないこともある高齢者、症状が修飾されがちな基礎疾患を有する患者では、他の疾患との鑑別が困難なこともあります。

インフルエンザの検査は、血清抗体検査とウイルスを直接検出する方法の2つがあります。確定診断検査としては、ペア血清による抗体価上昇確認とウイルス分離という従来のスタンダードにくわえて、近年はPCRやLAMPなどの遺伝子検出法も定着してきています。

血清抗体検査は、血球凝集阻止試験と補体結合試験が一般的ですが、中和試験が行われることもあります。感染の確認には急性期と回復期のペアによる評価が必要で、4倍以上の変動で有意となります。

インフルエンザウイルスの分離は、MDCK細胞等の培養細胞や孵化鶏卵を用いてウイルスを増殖させ、CPEを確認後、同定試験で型・亜型を特定します。判定までに3〜10日要しますが、感染性のウイルスであれば微量でも検出できる高い感度を誇ります。

最近増えてきた遺伝子検出法は、病原性の高いウイルスでも増殖させる危険性がなく、感染性が失われていても検出可能、検査時間が短いなどのメリットがあり、ウイルス遺伝子の変異の検索に欠かせない検査となっています。。

しかし臨床現場では、手間と時間を要する確認検査を日常的に実施し、その結果を診療に反映させることは無理です。迅速な対応が求められる臨床における検査としては、蛍光抗体法、酸素免疫法、インフルエンザウイルス抗原検出検査(迅速診断キット)などが挙げられます。

迅速診断キットはインフルエンザのPOCTとして普及しています。キットの実施には、抗ウイルス薬の適切な使用、他の検査の減少、感染対策の円滑な実施、インフルエンザの流行調査などに貢献しています。迅速診断キットの結果が臨床判断と異なる場合、特に陰性判定であった場合、偽陰性の可能性も含めて対処する必要があります。

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