ワクチン接種、サージカルマスクの着用でインフルエンザ感染を予防

12月までにワクチン接種を受ける

インフルエンザ流行時に医師や看護師をはじめとする医療従事者が注意しなければならないことは、医療従事者自身がインフルエンザに罹患しないようにすること、医療機関に入院・通院する患者や他の医療従事者にインフルエンザの感染が拡がらないようにすることの2点となります。

医療従事者自身の感染を予防するためには、日頃の体調管理、ワクチン接種、サージカルマスクの着用、手洗いの励行などによる飛沫・接触感染予防策が基本といなります。

患者や他の医療従事者等への感染防止対策としては、感染源の患者の隔離も含めた飛沫・接触感染予防策、感染源となる可能性のある医療従事者の出勤停止などが重要となります。

季節性インフルエンザの有効性に関する報告は多くありますが、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の調査によると、一般に健康成人に不活化インフルエンザHAワクチンを接種した場合の感染防止効果率は、60〜90%とされています。施設内の高齢者における発症予防効果は30〜40%低下しますが、肺炎や入院を防止する効果は50%、脂肪の予防効果は80%みられたと報告されています。また国内で実施された健康成人を対象とした臨床試験では、1回のワクチン接種により、70%以上で有効レベル以上の抗体価の上昇が確認されています。

一方、インフルエンザの場合、発症する1日前から鼻汁中にウイルスの排出が認められ感染性を有するため、感染防止対策を発症者のみに実施しても、感染の拡大を防ぐことはできません。タミフルやリレンザ等のインフルエンザ治療薬も実用化されていますが、感染前にワクチンで予防することが最も有効な防御手段です。

特にインフルエンザ患者と接触するリスクの高い医師や看護師は、自身への職業感染防止、患者や他の職員の施設内感染防止、インフルエンザ罹患による欠勤を防止するためにも、積極的にワクチンを受けることが推奨されます。日常診療で患者との接触リスクが低い医師であっても、冬にインフルエンザ予防接種 バイトや病棟管理、病棟回診を非常勤で行っている場合には、ワクチン接種を受けたほうが無難です。

インフルエンザワクチンは接種してから効果の発現までに約2週間を要すること、その後約5ヶ月間効果が持続すること、また、過去に感染歴やワクチン接種歴のない場合と、免疫学的記憶のある場合では効果発現までに差が生じると考えられていることから、ワクチン接種の時期は12月上旬までに完了することが勧められます。

接種回数は通常年1回ですが、過去にインフルエンザワクチンの接種歴がない場合は、2回接種したほうが抗体価が上がるという報告もあるので、接種者の意思と医師の判断によっては、3〜4週間間隔で2回接種することも可能です。

長時間勤務となりがちな医師や看護師は特に十分な栄養と睡眠を確保することが重要となり、インフルエンザ流行時には日常の健康管理により注意を払う必要があります。

患者と接触する医師、看護師は、標準予防策に加え、飛沫感染予防策および接触感染予防策を行う必要があります。流行時に普段のサージカルマスク着用やうがいによりインフルエンザウイルスの飛沫感染を防止できるか否かについてのエビデンスはないものの、感染防止対策の範囲を拡大して実施することは少なくとも不利益にはならないとされています。

感染予防を目的とした医療従事者への抗インフルエンザ薬の投与は薬剤耐性の問題を防止する観点から、投与は限定的にするべきとされています。医療従事者の場合、季節性インフルエンザに対して通常はワクチン接種を受けているはずであり、感染リスクのある患者と接触する場合には、適切な感染防止対策をとっているはずなので、抗インフルエンザ薬の予防投与は基本的には不要だからです。

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